>>3 最近、"Genetics of Suicide" (自殺の遺伝学)という総説が
「分子精神医学」という雑誌に掲載されました。
この論文は過去10年間に行われた自殺に関連する遺伝子の探索
に関する解説を詳細に行っています。
これによると、ヒトの情緒・気分に深く関係する神経伝達物質セロトニン
の量を調節する2つの遺伝子が自殺を起こすことと関係が深いことが
証明されています。
1つはトリプトファン水酸化酵素1(TPH1)でこのイントロン7
にある779番目又は218番目の塩基がA(アデニン)からC(シトシン)
に変化させる多型が、セロトニン合成を低下させ、衝動的な自殺を
多くするというのです。
またセロトニントランスポーター(5-HTT)の上流調節領域にある
44塩基の欠損の多型はシナプス間隙におけるセロトニンの再利用を低下させ、
自殺のような自己破壊的行動と関係するといいます。
最近、イジメによる自殺が問題となっています。
学校側はたいてい「イジメはなかった」という見解を示しますが、
大人の常識ではイジメとは認識できないようなケースでも、
セロトニンの機能障害がある児童では、考えられないような反応を
起こす可能性があるのです。
児童は育った環境によっても個性が生じます。
ただでさえ、小児期は多感で、問題への適切な対処法を知らぬゆえ、
大人にはなんでもないようなことでも、自殺への袋小路へ追い込まれて
しまうこともまれではないと思われます。
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