過去現在未来、三世一念の達観

こういう将来だって、ないよりはあるに越したことはないが、
別にこのフィクション上の疋田文五郎だって、
そればかりを渇望して人生を送って来たわけではあるまいし、
思わぬ僥倖、棚から牡丹餅のおまけ以上であることなどを期待すべきではない。

女とやりたい一心などでいようものなら、剣術修行も疎かになって、
晩年までこんな精力の絶倫さのままでもいられなかっただろうし、
むしろそれぐらいでなければ、このような将来に与れることもないのである。

ただの心持ちの問題だけではなく、現実の生き方にまで切実な影響を及ぼす、
過去や未来への囚われようの如何。まずそこから最善を尽くしておくのでなくんば。

返信する