おまえの考えは間違っていると、おまえ自身が証明済み 偉大なる生存の報告　Part323

話は変わるけれども、この前訃報が流れたこの谷川俊太郎という詩人、
もう何十年も前から国語の教科書などに、まるで歴史上の人物のような体裁で
載っていたのを俺も覚えているものだから、「まだ生きていたのか」という驚きと、
「よく何十年も偉人扱いで衆目に晒され続けながら、さしたる炎上もなく
生涯を全うできたものだな」という感嘆を抱かされたものである。

「そういう年代だから」かというとそうとも限らず、
わりと年の近い作家である小池一夫なんかも、晩年には認知症混じりなままに
SNS上で炎上を繰り返すような有り様だったし、著名人かつ、完全に緘口を決め込んで
いたわけでもないのに、炎上などなく天寿を全うできたのには、やはり特別な理由があるだろう。

思うに、それは「名声を博することへの知足」の保持にあるものと思われる。

今の俺みたいに、現状の世の中での名声などを全て恥と断じて忌み避けるとまでいかず、
それなりに名声欲もありながら、それを満たせたとなるやそこまでで終了、
あとは後世のために生きることだけに専念できる殊勝さがこの人にはあった一方、
小池さんなんかは不十分だったものだから晩節を汚すこととなったのだ。

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