
二倍体細胞生物が生きている間、その生命の元であるDNAは、
紫外線や活性酸素や食物の中の発がん性物質などのストレスによって傷付き、
この傷が時問とともに蓄積されて行きます。
生殖細胞が傷を負うと、それは子孫に引き継がれます。
また、傷付いた古い個体(親)と、傷を受け継いだ子孫が
再び合体する可能性もあります。
すると、集団の中に傷が蓄積される「遺伝的荷重」が起こり、
種が絶滅する可能性が非常に高くなります。
これを安全に回避するためには、長く生きてDNAが傷ついた個体は、
そのDNAを個体ごと抹消するシステムを作っておけば良いわけです。
つまり、再生系と非再生系の体細胞のどちらにも、
「一定の期間が経つと死ねるプログラム」を書き込んでおけば、
遣伝的荷重による種の絶滅を防げます。
こうして、様々な個体の遺伝子をシャッフルすることによる
「多様性(一斉絶滅回避策)」と「進化のスピード(ウイルスの変異への対抗策)」
を得た代わりに、“寿命”がプログラムされて、生殖を終えた個体はいずれ死ぬことが
運命づけられてしまったのです。
それが二倍体細胞生物にとっては種の存続のために不可欠なシステムであるとはいえ、
それぞれの個体にとっては死ぬことは本意ではなく、どこまで行っても悲劇でしかありません。
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