
90年代やそれ以前の洋楽も一通り聴き込んできた身としても、
宇多田が洋楽寄りのリズム重視だなどとはちっとも思えない。
ユーロビートベースの小室はおろか、
大瀧詠一や山下達郎やサザンやゴダイゴみたいな、
それ以前の脱歌謡曲を打ち出していた邦楽ミュージシャンのほうがよっぽど
その通りだし、なんなら80年代の、ニューロマンティックにカブレてた頃の
筒美京平あたりのほうが、まだ宇多田よりもちゃんと脱歌謡曲を狙ってた。
歌謡曲はもう古臭い、過去の遺物だと決め込みぬいてはいたものの、元より
虚弱すぎるせいで、リズムが強い音楽の流行には疲れ果てていた頃の日本人に、
歌謡曲ではないと偽りながら、100%王道の歌謡曲をぶっこんだあたりが、
宇多田がCD売上などの面で極端なヒットを飛ばした真因でもあるだろう。
宇多田のデビューの直前にも、Kiroroやルクプルみたいな癒し系で売り出された
ミュージシャンが一定のヒットを飛ばしてたりもしてたわけで、それは決して
本格の洋楽風への進展ではなく、むしろ昔ながらの邦楽返りの機縁だったのである。
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