車輪の歴史を紐解くと、産業革命前後で進歩のスピードが劇的に変わっていることに気づきます。
車輪が発展する歴史において産業革命が重要な転換点だったことは間違いありません。
なぜそんなことが起こったのか、もう少し考えてみたいと思います。
車輪普及の条件のひとつは「荷物を運べる家畜が得られるか」でした。
家畜がいなければ人間が荷物を運ばなければならないので、手で持って運べば
いいじゃないかという話に落ち着きやすかったのでしょう。
産業革命は蒸気機関という動力源の革新によってもたらされました。
蒸気機関は紡績や織機、交通機関に利用されたわけですが、
重要なことは人力や畜力、水力・風力に替わる動力として
蒸気機関を活用できたということです。
要するに産業革命をもって家畜がいるかは車輪普及の条件ではなくなったのです。
家畜の畜力や人力が必要なくなり、より大きな動力が得られるようになったことで
理論上は一度に大量に人や物を移動させることができるようになりました。
車輪の普及条件そのものが畜力に制約されなくなり、車体そのものの要件も変わったことで、
車輪が満たすべき要件も変化したのです。
耐久性や摩擦が車輪の課題となったのも、蒸気機関による長距離大量輸送が
可能になったからにほかなりません。
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