
甲陽軍鑑こそはまさに、これからの時代の軍事に
携わる人間にとっての必読書たるべき正典中の正典でもある。
とはいえそれはあくまで、近代戦争では通用しないような兵法、軍政指南の集成だからであり、
徴兵制や軍産複合体ありきの近代兵器まで駆使する戦争行為が、核戦争並みに有害無益な
ものであることが十全に全世界を挙げて認知されて、それでも世の中の撥乱反正のために
やむなく実行に移されるような軍事行動のみが、それを模範とするに足るのである。
商人を弱者の集まりとして見下し、当時すでに槍などと比べて集団戦での弱さが露呈
し始めていた薙刀の強みについて論じ立てるなど、非常にアナクロな記述もまたあれど、
さような古来の武士道を重んずるあり方が、近代以降の日本や世界以上の長期平和や
繁栄をこの世にもたらして来たのが現状の事実なのだから、侮っていいものでもない。
すでに銃砲の威力も十全に認知され抜いていた戦国期以降の日本で、
また大幅な軍縮で平時の武備を刀剣止まりにまで止めたことが、260年の無戦争状態を
実現したような事実もあるのだし、それは決して過去の遺物扱いにもできない姿勢である。
無益な戦争の激化の大元凶たる武器商人への依存を許さない軍事となると、
今でもそこまで立ち戻らざるを得ないもので、その代替えも現状見つからないのものである。
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