同じ少年野球チームのW君。
俺は彼と兄でいつも野球をして遊んでいた。
その日もいつものように2~3時間野球をして遊んで帰ると、
ちょうど昼時で母がパート先から食事を作りに社宅に戻ってきたので
良かったらW君も一緒に、ということで4人で食卓を囲むことになった。
といっても、コロッケにキャベツと冷奴という、とても簡素なもの。
まあお金のない我が家にとってはそれが普通だったんだが、
その食事を見た瞬間彼は「うわ、すげぇ」と言ったのを聞いて兄と笑っていた。
というのも、彼はどういうわけか学年全員から貧乏、貧乏といつもバカにされていたからだ。
なぜ彼がそのように揶揄されていたのかはよくわからなかった。
うちのほうがよっぽどお金なかっただろうが、自分は一度もそんな風に言われたことはなかった。
確かいつもお下がりのようなヨレヨレの服を着ていたのと、独特の濃い顔立ちからかもしれない。
だから、こんな粗末なご飯で喜ぶなんてやっぱり本当に貧乏なんだな、と兄と話していた。
だが、大人になってそれは大きな間違いだと気づいた。
いただきます、という当たり前の言葉たけでなく、食事を用意してくれた母に対して
感謝の気持ちを表すために、最大限の賛辞を言ったのだった。
小学生にしてそんな気配りができるとは、なんて大人びた奴なんだと胸が熱くなった。
長い年月が経った今でも、忘れられない夏の日の一コマである。
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