■なぜ「自由意志など存在しない」と科学者は主張するのか?
人間が自分は判断をコントロールできるという「自由意志」の存在は、科学的にまだ証明ができておらず、
いまだ議論がある分野です。
人は生きていく上で決断を行い続けているはずですが、なぜ「自由意志は存在しない」という主張があるのか、
メルボルン大学の意志決定神経科学研究所の代表であるステファン・ボーディ准教授が解説しています。
1983年、アメリカの心理学者であるベンジャミン・リベット氏は人間の「自由意志」の存在について実験を行いました。
この実験は、被験者を筋肉と脳の活動を測定する機械に接続し、「手首を曲げる必要がある」と感じた時に
その通り行動してもらうというものでした。
このとき、被験者が「手首を曲げる必要がある」と感じた瞬間も記録されました。
リベットが「筋肉の運動」「脳の活動」「被験者の記録時間」を比較したところ、まず、「脳の活動」
「被験者の記録時間」の2つは「筋肉の運動」より前に発生していることがわかりました。
これ自体に驚きはありませんが、この研究結果で重視されたのは、「被験者の記録時間」よりも
「脳の活動」の方が0.5秒ほど速いということでした。
これは、「人が『この瞬間に決めた』と認識する前にすでに脳は行動を決めているのだ」と解釈され、
人間に自由意志は存在しないのだという主張につながりました。
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