江戸時代までの身分制が、近代以降に新政府がネガキャンもかねて
触れ回って来た内容ほどひどかったわけではないというのは、
この前に四民制の有無について討論していた相手とも意見が一致した所だったが。
部落問題も実は、同じように新政府が江戸幕府を貶める目的で過度に
苛烈なものとして触れ回った所から、今のような状態に至ったのだろうと思われる。
ただ、被差別部落というものが近世までの日本に実在していたのには変わりなく、
しかもそれが明治以降に解放されたものだから、新政府の政策は昔よりも
自由主義的で好ましい、という考えまでをもそれだけで否定することはできない。
しかし、日本の明治期はおろか、ほんの近ごろまでアメリカなどでは実質的な奴隷制が残存し、
今でもその残滓たるような人種差別的事件が頻発しては暴動に発展するようなことも
繰り返されている。そんな世界の人権状況の劣悪さと比べれば、日本の部落差別なんて
近代以降はおろか、近世以前でも生ぬるいを飛び越えて保護的だったとすらいえるもの。
それでも、武家時代の部落差別がひどかったことにしておくことで、自分たちの倒幕者
としての正当性をアピールしたい現政府からの庇護もあって、部落問題も悲劇として
語り伝えられるようなままでいる。それが世界の奴隷制との比較を損なわしめたが故に、
世界中の人々との無益な軋轢を生む原因にまでなろうとしているのである。
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