シミュレーションの最後には、全員が資産順にランク付けされ、その資産が形成された経緯や、
成功者に共通の特徴の有無を見極めるため、チームが各個人の「人生」を詳細に分析した。
また、このプロセスを数回繰り返し、結果にずれがないことを確認した。
富の配分は現実世界のデータとおおむね一致していた一方で、富の分布は才能の分布とは一致しなかった。
むしろ最富裕層は、才能面ではトップから程遠い結果となった。
では、富をもたらしていたものは何か?
それはどうやら、純粋な幸運のようだ。
チームが幸運度を元に個人を順位付けしたところ、幸運と全体的な資産の明確な相関関係が示された。
最も幸運だった層は資産の面ではほぼ最上位に入った一方で、最も不運だった層は最底辺近くに入ったのだ。
その後チームは、この考え方を実世界の例に当てはめ、科学研究に対する資金分配方法を、
(1)全科学者への資金の均等な分配
(2)科学者の小集団への無作為な資金の分配
(3)過去に成功を収めた科学者への優先的な資金提供
の3通りに分けて分析した。
これらの分配方法をテストしたところ、将来最も大きな成果を得られる最善の資金分配法は、
全研究者の間で均等に分配することだと分かった。
一方、最悪の方法は、過去の成功の有無を基準に資金提供を決めることで、
過去の成功は幸運に大きく依存していたことを明らかに示していた。
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