●浅倉南の恋愛テクニックその3『適度な挑発による刺激』
達也と南の家は隣同士で、物心ついた時からほとんど毎日顔を合わせて暮らしてきた。
しかしそのせいで、南は達也からこんなことを言われてしまう。
「きっと、近すぎるんだよ距離が……安心しきってるとこがあるんだよな。
不安になったり、ヤキモチをやいたり、そういうことをくり返すうちに、
だんだん気持ちがもりあがってきて……そういう部分が欠けているんだよ。
だから、なかなか関係が、ハッキリ……」
幼馴染がゆえに、高校生にして訪れた倦怠期である。
こんな時、普通の女子なら「私のこと好きじゃないの? 距離を置きたいの?」
と慌てて関係をはっきりさせようとするだろう。
しかし、浅倉南は違う。
「もしタッちゃんがだれかを本気で愛して、
それが南のとてもかなわないようなステキな人だったら、
南は幼馴染としてちゃんと祝福してあげるからね」
そう言って軽く突き放したあと、達也の頬にキスをして去っていくのだ。
その後も南は攻撃の手をゆるめない。
南に想いを寄せる他校のスター選手・新田明男のバイクの後ろに乗ったり、
入院した新田のお見舞いに毎日病院に通ったり、達也と比較するように新田の話を
持ち出したりと、わざと他の男子の存在をちらつかせて達也を挑発するのだ。
すると、あんなに余裕綽々だった達也が、新田に対してヤキモチを焼き焦り始める。
そして最後には、達也からの熱い愛の告白へとつながっていくのだ。
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