金銭的圧力が、人の判断力にどれだけ影響を及ぼすのか調べるため、
研究チームは2つのシチュエーションテストを行ないました。
1つのテストは、ニュージャージーのショッピングモールの客を、
もう1つはインドの貧しいサトウキビ農家を対象としています。
モール客には、予期せぬ車の修理代が生じたとのシチュエーションを用意。
修理費が150ドル(約1万4,700円)の時と1,500ドル(14万7,000円)かかる時の
修理費の工面の方法を考えてもらい、それぞれの考慮の後、IQテストを行ないました。
すると、高収入の人では、修理費いかんに関わらずスコアに差は見られませんでしたが、
低収入層の人は、修理費が1,500ドルと高額になった時のIQテストの結果が150ドルの時と比べ、
13ポイントも下がったことが分かりました。
同じテストをインドの田舎のサトウキビ農家にも行ないました。
年1回のみの収穫時期直前(貯金が空に近い状態)と収穫後(1年で一番家計が潤う時期)に
IQテストをしたところ、収穫後では成績が9ポイントも良かったということです。
このような現象をMullainathan氏は、容量オーバーのコンピュータのようだと言っています。
いくつものプログラムを同時進行で走らせていたり、容量が許容量スレスレになると
コンピューターの動きが遅くなることは誰もが経験したことがあるでしょう。
貧しさは、まさにその容量オーバーの状態を脳で生み出しており、脳の活動範囲を狭めてしまうのです。
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