非鉄金属系の刀装具の素材には、純度の高い素銅のほか、
金銀との合金である赤銅、四分一、朧銀などが用いられる。
これらもまた酸化後の黒味や灰味を楽しむものであり、
酸化を徹底排除するメダルの表面処理などとは一線を画している。
元禄期の豪商向けの脇差拵などには、純金や純銀を用いた
豪華絢爛なものも一部見受けられるが、成金趣味として卑しまれ、
鍔や縁頭などの無垢素材としての使用が定着することはなかった。
(ただし金流し、銀流しといわれるメッキ技術は用いられた)
目貫や小柄櫃、笄などの必ずしも必要ではない装飾品には、
質入れで当座の金を用意するための目的などで金が用いられたが、
これも金ピカはかえって卑しまれ、酸化であえて燻し金にすることが好まれた。
貴金属の扱いにかけて、ここまで成熟をし抜いた国も他にない。
どちらかといえばフランスよりも、日本のほうが異次元に過ぎるのである。
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