もう喜寿を超えた
大将は今朝も蕎麦打ちに専念しそれを啜る客の一挙手一投足を鋭い横目で観察しています。私はこ
の大将が店に放つプレッシャーこそ蕎麦打ちの真骨頂だと考え日々真似をしようと鍛錬しておりま
す。店には緊張感がなければ決して主と客の関係は成り立ちません、その張りつめるような緊張感
は強ければ強いほど良い蕎麦が生まれます。それから大切なのが酒ですね、日本酒です。焼酎など
外道であり真の通った蕎麦屋には置いていない筈です。蕎麦に合わせる酒は二種あり温燗と熱燗で
す。当然笊には熱燗です。銘柄は菊正宗のみ本道とします。江戸の昔よりより通な飲み方は軽く蕎
麦を含んでお猪口一杯をぐい飲みし流し込む方法です。これがない客は無粋とみて間違いないでし
ょう。逆にウズラの卵を合わせる客は通として一目置きます。お客にもいろいろあり困りものです。
また、お店の常連たちと定期的に会合を開き蕎麦について語り合っています。お客には「ごひいき
さん」「普通の客」「師客」と3種類に分かれ、とくに味・技術に小言を言ってくる「師客」の批
評を糧として精進し続けるのが蕎麦屋の姿勢である。私は、他店ではあくまで「ごひいきさん」で
はなく「師客」として小言、意見をどんどんいわねばならない立場でなければと思い日々お店に感
想、意見を言っています。蕎麦に対する感謝と尊敬を忘れずに・・・
粋 心 感謝 尊敬
江戸蕎麦道
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