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だいたいが、キリスト教以上に西洋人にとっての最古層からの
精神性の拠り所になっている、ギリシャ神話の最高神であるゼウスからして、
「父君たるもの、こんなであってはいけない」という反面教師の典型のような神である。
ギリシャ神話の研究者や愛好者がよく言うのが、
「人間の正体を克明に描き出している点で秀逸なのがギリシャ神話」
という主張だけれども、あんなのが人間の本性だというのなら、要は性悪主義である。
孟子や朱子が言うように人間の本性は正善なのであれ、荀子のいうように邪悪なのであれ、
正善だと考えながら世の統治に取り組めば、それが朱子学を重んじた江戸幕府のような平和や繁栄を招く一方、
邪悪だと思い込みながらの統治に及べば、荀子や韓非子の言説を取り入れた秦帝国のような短命に終わる。
それと同じように、石田ゼウス純一みたいなのを最高神とするギリシャ神話なんかを、
人間の本性の展覧会だと思い込み続けてきたが故に、西洋人は必要もなくあえて好き好んで、
劣悪な人間性でしかいられなくなった。キリスト教もまたさらにそこに拍車をかけるような
事態を招いただけでしかなく、さような影響下にあり続けてきた人文系の洋学なども、
そのすべてが人々に性悪さをあえて強いるような代物でしかないままであり続けてきたのである。
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