牧野富太郎が、学位の取得も疎かにしたままでの植物学研究に没頭していた理由を、
今の朝ドラでは「そんなことしてたら外国に先を越されるから」として描いているけれども。
自らの社会的地位や権力、金儲けの元手となるような学位などに
こだわっていたのでは、自らの志しのほうが萎えてしまうものだから、
小学校中退という超低学歴のままでいることをもあえて選んだのではないかとも思われる。
その、何者でもない立場の低さこそを糧として、無名の雑草扱いだった植物への
親しみを抱き、東大やオックスフォード大の教授も降参するほどの研究成果を挙げ、
自ら石版印刷技術を身に付けての植物学雑誌発行のような立ち回りまでをも演じていた。
志しさえ高ければ、手段は無数に拓けるし、それが当世で常道とされているような手段よりも
大いなる成果を挙げるようなことまでもがあるのだから、手段の大小などにこだわるべきではない。
鹿鳴館で踊ってた金持ちや要人の名前なんかとっくにほとんどが忘れ去れていようとも、
牧野博士が泥だらけ、インクだらけになりながら授けた植物の名前は残り続けているのだから。ああ。
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