度胸をつける教育をする
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001 2024/12/27(金) 11:02:11 ID:50dnSmXGCA
昭和七年(一九三二年)一月のある日だった。入営して二ヶ月にもならない。兵舎から二百メートルほど離れた射撃場からさらに百メートルの所に、ロシア人墓地があった。その墓地に三中隊の六十人の初年兵が集められた。大隊長や中隊長ら幹部がずらりと来ていた。
「何があるのか」と、初年兵がざわついているところに、六人の中国の農民姿の男たちが連れてこられた。全員後ろ手に縛られていた。上官は「度胸をつける教育をする。じっくり見学するように」と指示した。男たちは、匪賊で、警察に捕まったのを三中隊に引き渡されたという。
はじめに、着任したばかりの大隊長(中佐)が、細身の刀を下げて六人のうちの一人の前に立った。だれかが、「まず大隊長から」と、すすめたらしい。内地から来たばかりの大隊長は、人を斬ったことなどはなかった様子だった。部下が「自分を試そうとしている」ことは承知していたろう。どんな表情だったか、Tは覚えていない。彼は、刀を抜いたものの、立ちつくしたままだった。「度胸がねえ大隊長だナ」と、Tら初年兵たちは見た。すぐに中尉二人が代行した。
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