おもえば、アメリカもまた「劇場型国家」などと呼ばれるほど、
裏手の極悪非道さを覆い隠すための、表向きの演技を凝らした国であるものだが。
上に書いたような理由のみならず、演劇たるものどうあっても、
最大視野角約200度、有効視野に至ってはわずか30度程度に過ぎない、
人間の視野の範囲内だけの作り込みに特化して行くものであることから、
四方八方全方向、視野の外側に至るまですべてに注意を張り巡らせる必要がある、
本格の武芸や仁政などと比べれば、200~30/360程度の領域においてでしか
最善を尽くそうともしないことになるという点で、大いに片手落ち止まりなのだと、
以前にもユークリッド座標系への考察などと共に論じていたものである。
そういった諸々の理由があって、劇場型国家もまた、たとえ自分たちとしては
最善を尽くしているつもりでも、世界の大半を敵に回すような破目に陥る。
中露のほうがアメリカなどより表向きはひどい政治をしてるように見えながら、
視野の外側に至るまでの、奪っている国の少なさや与えている国の多さが
より大きな後押しとなって、アメリカ以上に世界からの支持を得ることとなる。
演劇をやり込めるのは天井打ちの早い小道である一方、万事万有に注意を
張り巡らせる部類の試みは、仁政といわず武芸といわず仏道修行といわず
大道であるという致命的な相違があるために、小から大への鞍替えもまた困難たる。
それでも巻き返しを図るというのなら、主導者の総入れ替えぐらい避けられることもない。
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