アイザック・アシモフの科学エッセイ集『存在しなかった惑星』
(ハヤカワSF文庫)に、こんな話が出てくる。
ある時、アシモフの講演の後の質問の時間に、1人の青年が、
「科学や技術が人間の幸福を少しでも増大させたと本気で思っているのか」
と訊ねてきた。
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「あなたは、古代ギリシアの時代に住んでも、いまと同じように幸福だと思いますか?」
私は訊ねた。
「思いますよ」
彼は、きっぱり答えた。
「アテネの銀鉱の奴隷であることが、どれだけ楽しいかな?」
私が微笑を浮かべて訊ねると、彼は坐って黙りこんでしまった。
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どうしてこんな話を思い出したかというと、つい最近、ネット上で
面目い意見を読んだからである。
個人の日記なので迷惑がかかるかもしれないからURLの提示は避けるが、
要約すると「我々は武士の子孫ではなく、百姫の子孫だ」というのである。
江戸時代の武士の人口比率は3%とか5%とかいう数字。
人口の大半は百姓だった。
だから「日本はサムライの国」とか「日本人は武士の子孫」などと
考えるのはおかしい。
そうしたことを真剣に主張する連中は「現実と空想の区別がついていない」
というのだ。
まったくその通りである。
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