裏金だ背任だ公選法違反だと、違法行為として摘発される権力犯罪もまた相当数あれど、
それらは権力犯罪のうちでは「しくじった部類」に入るものでしかなく、より重大な
権力犯罪のほうが、違法でもないままに野放し状態、ということがよくある。
たとえば、派遣法改悪以降に日本社会で横行し始めた奴隷使役などは、それ以前の終身雇用制
時代はおろか、はるか昔の江戸時代にも、お代官様と越後屋の口利き黙認賄賂譚のように
違法扱いされていた権力犯罪なのだけれども、今の日本ではあくまで合法なものである。
合法でいながら、この日本という国の屋台骨を根底から破壊し、亡国の危機をも招いている。
人間社会にはそういった、合法な権力犯罪というものが付き物なのである。
それは、法律上は問題なしとされる行為だから、法治主義者には十分な糾弾などできない。
「とにかく法律さえ守っとけばそれでよし」という怠慢は、法支配される側である庶民などに
とってはそれなりに良識的たり得るものなれど、自分たちで法律を変えられる権限をも
持ち合わせているような大権力者にとっては即、権力犯罪を黙認、推進する元凶となってしまう。
古来、儒家と法家の両輪統治できた中朝が、権力腐敗からの国家崩壊を繰り返して
来たのもそのためで、権力者たるや、誰一人として法治主義止まりなどではいけない。
些末な実定法よりも普遍的なものとしての、権力道徳をも守って行こうとする気風を
持ち合わせているぐらいで初めて、致命的な権力犯罪の廃絶も達せられるのである。
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